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【人生はローリングストーン】デヴィッドフォスターウォレス主演の対話ストーリー

人生はローリングストーンという映画を知っていますか。

まずは予告編を見てもらえれば話が早いです。

話の展開はなだらかで、会話が多く、地味な印象に感じるかもしれません。そのせいもあってか、日本では劇場公開されることはありませんでした。

DVDやその他ネットサービスで視聴することができます。

あらすじ

米ローリングストーン誌の記者として働くデヴィッド・リプスキーは、小説「Infinite Jest」を執筆して一躍時の作家として世間に台頭したデヴィッド・フォスター・ウォレスに数日間の密着取材を行います。

ウォレスの書いたInfinite Jestは1000ページを超える大作となっており、彼は世間から知的な文学者という評価をもたれます。
彼はそんな自分の作家としての大成とは裏腹に、自己のプライドのために周囲からの眼差しや評価に怯えて、それを自覚している故に自分で自分を圧迫していくことになります。

一方リプスキーは作家になりたいという夢を抱えながら、現実的な問題から雑誌社の記者として無難な道を選択していました。
そんな中、憧れの大物作家であるウォレスに密着取材をしながら、同じ文学が好きなもの同士、公私ともに仲を深めていきます。

しかしウォレスは取材を受けるうちに、だんだんとこれまでの自分の生涯における孤独感を露わにしていきます。本が売れても世間の評価が信じられず、脚光に溺れまいと常に自分に猜疑心を向けていることに気が付くのです。
それに対し若く社交性に富んだリプスキーの華やかな人間性に嫉妬するようになります。

逆にリプスキーはウォレスの文才を羨み、彼が世間の評価に目も当てないのは傲慢なのではないかという気持ちになります。
この2人のないもの同士が摩擦を生じさせ、取材中にもだんだんと険悪な雰囲気に。
さらにリプスキーは取材(仕事)でウォレスに接触していることもあり、会社にとって実になるようなネタを求められ、ウォレスにヘロイン中毒の疑惑があることを聞き出し、彼の心の弱い部分に踏み込もうとします。

それでも最終的に2人はお互いの人間性と、文学に対する想いを認め合い、取材が終わる別れ際にリプスキーが自分の本をウォレスに渡します。
リプスキーは渡した本に対する感想や評価を聞くこともなく、数年後にウォレスが自殺したことを知りました。

二人の会話劇にある深い思い

僕はこの映画が大好きで、3回くらい連続で見て、5~6回くらいBGMがわりにただ流していたりもしました。

それだけ見ていると印象的なセリフが頭に残るし、自分のために覚えておきたい言葉もきっちりメモしておきました。

誘惑は毒だ

過去にアルコール中毒や自殺未遂のあるウォレスが、孤独から逃れるためにさまざまな誘惑にかられたことを如実に表しています。
その中でも特に、テレビは中毒性があると強調します。テレビがあると、観る気がなくてもついつい流し見をしてしまうと。
酒、女、ヘロイン、エンタメ、孤独から逃げるすべはあっても、それを許せない自分を自覚している彼の言葉です。

シャイな人は自分に夢中すぎて人といるのが辛い。お互いに。

ウォレスが自己分析に長けており、なおかつそんな自己分析の結果を肌に感じてきたから言える言葉でしょう。
この「自分に夢中」には他者から逃避して自分に夢中なのか、自分をどんどん掘り下げていくことに重きを置いているのか、彼の性格上いろんな意味が内包されている気がします。

45歳以下の悲しみの要因は楽しみや達成感の中に関わっている

これは人生の先輩としてウォレスがリプスキーにあてた言葉です。
悲しみと楽しみは対極にあるようだが、だからこそ逆説的に悲しみが生まれる場合があることを言っているのでしょう。

売れない小説家も人間で、自尊心を守るのに必死だ

ウォレスも初めから小説家として売れていたわけじゃない。
無名なころは彼も、世間で注目を集めている作品はくそだと、周りを貶めてなんとか自分の立ち位置を守ろうとしてました。
しかし自分の作品が売れた途端に、皮肉にも自分を慰めていた言い訳に暗い影を落としてしまうことになります。
こういったウォレスの正直な人柄も、彼が売れた後に素直に自分を認められなかった要因の一つでしょう。

物書きは人より賢くない、むしろ愚かさや混乱している姿に魅力がある

これはリプスキーとウォレスが険悪なムードなときのやりとりで、リプスキーが「自分より若くて賢くない相手に知性を隠している」と、ウォレスを非難します。
ウォレスが達観して世間よりもクールな温度感でいるように感じたリプスキーの嫉妬と怒りでしょう。
しかしウォレスは「人より賢くないと思える分、賢いのかもしれない」と、ソクラテスのごとく無知の知を表明します。その上で自分の苦悩や愚かさに文学的な意義を見出していることを話していました。

脚光を気に入ってしまうことを恐れている

ウォレスの放った一言であるが、これこそが彼の究極のアメリカ人的思考であり男のプライドなのかもしれません。
作中でも自分のバンダナをトレードマークと思われたくないと語っており、自分への周りの評価を極度に気にしている様子がうかがえます。

まとめ・感想

まずは予告編をみて、ちょっとでも気になったらぜひ見てほしい映画の一つです。
人間の深層心理を知的に露わにしているのが、なんとも心に刺さるところがあります。
とくにプライドの高い人にとっては耳が痛くなるような内容かもしれません。

映画の最後にはウォレスが大勢に評価されているのにも関わらず、自分の才能を疑って悪い評判を過度に気にしてしまうことを打ち明け「俺みたいになりたいか?」とリプスキーに質問します。

リプスキーはウォレスの功績を求め、ウォレスは自分以上のものを求めていたことをここで端的に表現しています。

ウォレスが過去の苦しみや孤独に囚われながら現在の名声に取り巻かれた複雑な姿と、リプスキーの適当な妥協点に落ち着きながらも作家としての名声を求める葛藤が交差し、相反する現実と苦悩が見られます。
どっちについてもどこか心にしこりが残るような、世間と人の心の複雑さや厳しさを教えられているような感覚でした。

それでも最後にウォレスが自殺をしてしまったことから、孤独感と自己を厳しく追いつめる辛さが強調されていました。

映画の詳細

監督 ジェームズ・ポンソルト
脚本 ドナルド・マーグリーズ
ウォレス役 ジェイソン・シーゲル
リプスキー役 ジェシー・アイゼンバーグ

邦題は「人生はローリングストーン」ですが、原題は「The End of the Tour」であり、なかなか捻じ曲げられてる印象がありますね(笑)

この映画は実話をもとに作成されており、デヴィッド・フォスター・ウォレスは実在する作家でもあります。
若手記者のリプスキーの密着取材も実際のできごとで、その取材の録音テープの書き起こしが含まれていることから、作品がよりリアルになっています。

そんな数日の密着取材を、「旅」と称して印象的な英題にしているので、邦題のセンスはちょっともったいないような気がしますね(;^ω^)

日本語訳されているウォレスの本です。
ヴィトゲンシュタイン(哲学者)を題材に取り上げることや、1000ページを超える「Infinite jest」を執筆したことからも、知的な印象は確かに否めないですね…。

僕は映画の監督とか配役はあまり気にしないタイプなのですが、この作品に限って言えばウォレスの配役やストーリーの演出は最高でした。
ジェイソン・シーゲルの作中の演技は世間体にもかなり高評価で、自分の内なるところで葛藤する孤独な姿は見事なものでした。

アマゾンや、ストリーミングサービスなどで映画を視聴することができます。

僕はYouTubeで購入して視聴しました。

谷口有威
谷口有威
この映画を知ったきっかけがYouTubeのおすすめに表示された予告編でした
YouTubeで購入した「人生はローリングストーン」

初めてYouTubeで有料動画を購入しました。

YouTube有料動画購入後のレシート画面

300円で、48時間視聴可能です。
普通にDVDをレンタルするより割高ですが、クレジット決済で手軽にYouTube上で視聴できるのがメリットです。
FODやNetflix、Huluに登録するのもいいのですが、単体でたま~に映画を観たくなるような人には良いかもしれませんね。



【フジテレビオンデマンド】

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