書籍関連

2018年書籍年間トップセラーを読んだよ【漫画 君たちはどう生きるか】

漫画 君たちはどう生きるか?

本屋だけでなく、ローソンなどコンビニでもよく見かけた『君たちはどう生きるか』

ミーハーなんで僕も読んでいました。

世の中の本質を必死に紐解こうとする哲学的な少年、コペルくんに深く共感します。

漫画 君たちはどう生きるか?

漫画 君たちはどう生きるか?
原作 吉野源三郎
漫画 羽賀翔一
出版 マガジンハウス
初版 2017年8月24日

原作は、今でも読み継がれる永遠の名作といわれているようです。

舞台は1937年の東京 コペルくんと呼ばれる少年の物語と、彼のおじさんが少年に向けて書いた独白記で構成されています。

コペルくんが何か本質的な発見をして、それに対しておじさんがアンサーを出します。大人が読んでも、繰り返し反芻して思考しながら落とし込んでいかないと、真に理解するのは難しいかもしれません。

へんな経験

この章では『ものの見かた』について取り上げられています。

”いま君は大きな苦しみを感じている。正しい道に向かおうとしているから正しい生き方を強く求めているからなんだ。”

この物語の主題を前置きに、コペルくんの新発見から始まります。

「一人一人がこの広いこの世界の、たった一分子でしかない。その分子の集合体が、世の中という大きなうねりを作り出している。」

一方で、人間が自分を中心に物事を捉えがちな性質であることに言及し、大人になるということがどういうことなのかを考えます。

勇ましき友

個と集団についての話。

分子が大きなうねりとなって一つの塊になると、かえって抜け出せなくなるという現象がおきることもあります。

例えばいじめにおける加担者と傍観者。直接手を加えていなくても、ここにはいじめる側といじめられる側の2つの集団が形成されます。
集団というのは、大きなうねりに流されてしまうのでそこに正義や倫理はなく、あったとしても押し込められてしまうのです。

そこで大切なものは、正義を思うだけでなく表に出し、流れに逆らう勇気のある人間が立派な人なのではないかというストーリーでした。

 

そして立派であること、人間がこの世に生きていることにどれだけの意味があるのかということを、考えさせられます。

優れた作品に触れて感動したことのない人が芸術を理解できないように、人間らしく生きていない人に生きている意味を見出すのは至難のことでしょう。

ニュートンのリンゴと粉ミルク

改めて考えるとニュートンはリンゴが落ちただけで、どうして万有引力なんて大発明までたどりついたのかという疑問から始まります。

想像力を人よりも広げて、わかりきっている当たり前の物事に対してどこまでも追及していくことに意味があることを教えてくれます。

コペルくんは「僕は粉ミルクで育ったから、オーストラリアの牛も自分のお母さんってこと?」と問いますが、これをたどっていくときりがないことになります。

経済学的にいう基本概念のひとつである、生産関係がどんどん広範囲になっていき、多様な共同や分業が複雑に織りなすことで国が回っていることを説明。

人間同士のつながりを土台に、商業主義を見ていく視点が養われました。

またコペルくんの発見が素晴らしいものであることを断ったうえで、実はそれがすでに学問では基本であること、そこから新発見をすることに意味があると話します。勉強をする理由がわかります。

貧しき友

貧しさを巡る人間関係の問題。

自分を貧しき人よりも一段高いところに置いているような、思い上がった人間。貧しいことに引け目を感じている人間。
貧しさという壁を挟んで、互いに弊害となるパターンです。

とはいえ貧乏な暮らしで、何かと引け目を感じるのは免れられない人情でもあります。だからこそお互いに余計な辱めをうけないように、慎みを忘れてはいけないという教訓。

理屈では貧乏に引け目を感じる必要はなく、むしろ高潔な心と立派な知識を備え持つ人に尊敬に値する価値があります。
たとえ貧しくても自分を卑下しない、たとえ豊かでもそれが偉いと思わないことが大切です。

ナポレオンと4人の少年

ナポレオンは破竹の勢いで王者になり、その後のロシア遠征失敗で島流しにあう捕虜にまで堕ちた。
人間離れした偉大な英雄、没後永久に歴史に名を残し続けるその存在感。

こんな偉大な人でも、人類の総歴史からみるとたった一瞬に過ぎません。その大きな流れで歴史に名を食いこませたのは、個人的な望みを遂げるために尽力しつつも、結果的に人類の進歩に大きく貢献したからでしょう。

逆に世間で華々しく評価されながらも、大きな流れの中ではまったく人類の役に立たなかった人もいます。

英雄や偉人と呼ばれても、本当に尊敬できるかどうかは人類の進歩に役立った人だけです。

ナポレオンを引き合いに、人類の進歩に結びつかない英雄的精神の虚しさと、英雄的な気力を欠いた小さな善良も同様に虚しいということでした。

雪の日の出来事

コペルくんは友達との約束を守れず、ひどく苦しみました。

この本の核となる立派な人間になってもらいたい想いにもっとも近い部分。

”いま君は大きな苦しみを感じている。正しい道に向かおうとしている。
正しい生き方を強く求めているからなんだ。”

この頼もしい言葉を体現するようなリアリティのあるストーリーが、この章でした。正直ちょっとウルっときます。

石段の思い出

苦しい思い出はいずれ背中を押す糧になる、前章で悲しみに暮れるコペルくんのために母親が贈った言葉でした。

人が生きていく途中で子供は子供なりに、大人は大人なりにいろいろと辛いことや苦しいことに出合います。

健康であれば身体機能のありがたみはわからず、鼻がつまっていなければ呼吸していることすら意識を向けません。

痛みは心に感じるものだけでなく、身体的な痛みにだってとても意味があるものです。本来人間がどういうものであるべきかということを知らせてくれます。

とくに心に感じる辛さや苦しみは、人間として正常な状態いいないことからそれを生じさせて知らせてくれる証です。
損得勘定ではなく、道義の心から取り返しのつかないことをしてしまったと思えるものほど辛いことはありません。

そのうえで自分の過ちを認めるのは、さらに苦しいことですが、そこに人間らしさがあるのも事実。正しい理性に従って行動する能力がないのなら、人は初めから後悔なんてしません。

まとめ

各章ごとのポイントを抜粋して書いてきましたが、2度3度と繰り返し読みたくなるような本でした。

2018年の書籍総合トップに躍り出たのも納得の内容ですね。

抽象的で難しいところもありましたが、それでもここまで売れたのは、僕たちが普段から潜在的に感じている悩みや哲学的な疑問をうまく漫画に昇華したからでしょうか。

もっと早く出会いたかった本です。

中学生、高校生に強くおすすめできます。

ライター
谷口有威
HITOMAGA管理人。本業のかたわら、ブロガー&ライターやってます。コーヒーとカフェがとても好き。写真は5年くらい撮っています。岐阜-一宮-名古屋が主な活動範囲です。
\ Follow me /

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA